車両研究所から引き継いだ、詳しい解説
キッチンカーのサイズ選び。軽・1t・1.5t・2tを商売別に

漫画でつかんだポイントを、実車の確認に役立つ情報で深めよう。
この記事の結論
「どれが一番いいか」に答えはありません。売る商品と出店場所、1日の食数を先に決めて、そこから積載と免許で絞ります。クラスから選ぶと、たいてい間違えます。
この記事で分かること
- 軽・1t・1.5t・2tが、それぞれどんな商売のための道具か
- 運営者の営業例。軽で1日約8〜10万円、1.5tで1日30万円以上を狙う事業者がいる
- 車を決める前に決めておく順番(商品→食数→設備→積載・給排水→免許→出店場所)
- 購入前に販売者へ聞きたい質問と、営業開始までの具体的な準備
車を決める前に、決めておく順番
「予算がこれくらいだから軽」「大きいほうが安心だから1.5t」。この入り方で選ぶと、出店できる場所が減ったり、積載が足りずに売り逃したりします。順番を逆にしてください。
- 売る商品と調理工程を決める
- 1日に売りたい食数を決める
- 必要な設備(熱源・冷蔵・シンク)を洗い出す
- 必要な積載量と給排水容量を計算する
- 運転する人の免許区分を確認する
- 出店したい場所に入るサイズかを確認する
- ここまでで残ったクラスから選ぶ
都内などの道が狭い場所や小回りが必要な出店場所では、軽や1tの小回りが効きます。大型フェスでは1.5t以上が強みを発揮します。主な出店場所と売る商品、必要な食数・設備からクラスを絞り、実車の積載量・サイズと運転する人の免許で確認する。これが基本の流れです。
軽:小さいから強い場所がある
軽キッチンカーを検討する人の多くは「予算が少ないから軽」という入り方をします。この研究所の見方は違います。軽が強いのは、軽でなければ入れない場所があるからです。都内のオフィス街ランチでは、ビルの敷地の一角、駐車場の1台分、公開空地の端など、区画そのものが狭いことが珍しくありません。ここに1.5tは物理的に入りません。

軽キッチンカーの販売実績としては、クレープで1日あたり約8万円、いちご削りで1日あたり約10万円といった営業例があります。
これは売上を保証する数字ではありません。立地・天候・イベント規模・オペレーション人数で大きく変わります。ただし「軽だから数万円が上限」という一般論は、現場の実感とは違います。
商品は、繰り返し買いに来てくれる固定ファンがつくものと相性がよいと考えています。軽は1人でも営業できますが、行列ができる現場では1人営業がそのまま販売機会の上限になります。調理する人と会計・受け渡しをする人を分けるだけで、回転率は変わります。
| 軽の制約 | 何に効くか | 現場での現れ方 |
|---|---|---|
| 最大積載量 350kg | 食材・包材・什器の量 | 昼過ぎに売り切れる/補充のために往復が必要になる |
| 電源容量 | 同時に使える機器の数 | フライヤーと冷蔵庫を同時に回すとブレーカーが落ちる |
| 給排水容量 | 営業時間と洗い物の量 | 水が足りず途中で補給に走る |
| 厨房スペース | 工程数 | 仕込みを別拠点でやる前提になる |
※ 表は横にスクロールできます。
| 商品の例 | 理由 | |
|---|---|---|
| 向いている | クレープ/かき氷・削りいちご/コーヒー・ドリンク/ホットドッグ/単品の丼もの | 工程が少ない。仕込みを事前に済ませられる。1〜2人で回せる |
| 条件つき | 唐揚げ/たこ焼き/焼きそば | 火器と換気、電源容量、油の処理を設計できれば可能 |
| 向きにくい | 多品目の弁当/大型フライヤーを複数/大量のドリンク在庫が必要な業態 | 積載・電源・スペースのすべてが同時に足りなくなる |
※ 表は横にスクロールできます。
1t:食数の天井を上げる車
1tは、軽で営業して手応えをつかんだ人が次に選ぶクラスです。目的は明確で、1日に売れる食数の天井を上げることです。

感覚値として、軽で30〜60食だった営業が、1tでは60〜120食を狙えるイメージになります。
これは商品・立地・人数で変わるため保証値ではありません。ただし「軽で毎回売り切れている」状態の事業者が1tに乗り換えると、売上の伸び方が変わることが多くあります。
売り切れは、褒め言葉ではなく損失
毎回売り切れているのは一見良いことですが、経営から見れば「その日、まだ買いたい人がいたのに売れなかった」という状態です。軽で売り切れが続いているなら、積載を増やすことが最も直接的な売上対策になります。
2人営業がやりやすくなり、それでも都内で扱える
軽の厨房は、2人が同時に立つと動線がぶつかります。1tになると厨房の奥行きと幅に余裕が出て、調理と接客を分担しやすくなります。1.5tより小回りが効き、駐車場所の選択肢も残ります。
| 内容 | |
|---|---|
| メリット | 軽より積める/厨房が広い/2人営業しやすい/1.5tより小回りが効く |
| デメリット | 車両価格・架装費が上がりやすい/維持費も軽より増える/必要免許は車両総重量による |
| 向いている人 | 軽で売り切れが続いている/2人で回したい/都内ランチ中心だが食数を増やしたい |
| 向きにくい人 | 出店区画が極端に狭い/稼働日数が少なく固定費を回収しにくい |
※ 表は横にスクロールできます。
1.5t:フェスで強い理由は積載
フェスや大型イベントで1.5tが強い理由は単純です。大量に積めるからです。食材、冷蔵品、冷凍品、包材、ドリンク、厨房設備。これらを一度に積んで現場に入れることが、そのまま1日の販売上限になります。イベントは日数が限られています。その日に売り切れてしまえば、翌日はありません。

1日30万円以上を狙う事業者に選ばれるクラスです。最高クラスでは、1日150万円の売上に達した顧客事例もあります。
ただしこれは車両が売上を保証するという意味ではありません。商品力・イベント規模・オペレーション人数・仕込み体制がそろって初めて到達する数字です。1.5tは150万円を保証する車ではなく、150万円を狙える体制を作りやすい車です。
| 要素 | 軽・1tでの制約 | 1.5tでの変化 |
|---|---|---|
| 食材の量 | 昼過ぎに売り切れる | 1日分を積み切りやすい |
| 冷蔵・冷凍 | どちらか一方になりがち | 両方を積める構成が組める |
| 人員 | 1〜2人 | 2〜3人で回せる厨房が作れる |
| 給排水 | 40L〜80Lが現実的 | 200Lクラスが現実的 |
| 電源 | 容量が先に頭打ち | 機器構成の自由度が上がる |
※ 表は横にスクロールできます。
売れ続ける現場では、1.5tでも足りない日があります。別車両で材料を運ぶピストン輸送が必要になることもあるので、フェス出店を本気で狙うなら、車の積載だけでなく補充の体制まで設計に含めてください。積載が増えるほど車両総重量も増え、免許区分・タイヤ・ブレーキ・足回りの負担もセットで上がります。
2t:すでに売れている人が、上限を外すための車
2tは、はっきり言えば上位ランカー向けです。1日70万円、100万円、200万円を本気で狙うような大型フェス事業者と、関東から東北・北海道・中部・九州へ移動して出店する長距離遠征型の事業者のための車です。遠征先で材料をそろえるのは時間もコストもかかります。2tなら必要なものを積んで行けます。

| 条件 | |
|---|---|
| 選ぶべき | 大型フェス中心/1日70万円以上を狙う/複数人で回せる/長距離遠征が多い/すでに実績がある |
| 選ぶべきでない | 初めての1台/稼働日数が少ない/都内ランチ中心/1〜2人で回す/駐車場所が確保できていない |
※ 表は横にスクロールできます。
4クラス早見表
| 軽 | 1t | 1.5t | 2t | |
|---|---|---|---|---|
| 向いている営業 | 都内ランチ/狭い区画/単品高回転 | 都内ランチのステップアップ/複数工程 | フェス・大型イベント/複数メニュー | 大型フェス/長距離遠征 |
| スタッフ | 1〜2人 | 2人 | 2〜3人 | 複数人が前提 |
| 積載 | 350kg(軽トラックの法定基準) | おおむね1,000kg前後 | おおむね1,500kg前後 | おおむね2,000kg前後 |
| 普通免許 | 普通免許で運転できる | 車両総重量による | 車両総重量による(準中型が必要な場合あり) | 準中型以上が必要になる場合が多い |
| 給排水 | 40L前後が現実的 | 40〜80L | 200Lが現実的 | 200L以上も設計しやすい |
| 弱点 | 積載・タンク容量・電源容量 | 架装後の余裕は思ったほど大きくない | 駐車場所・維持費・消耗費 | 出店場所の制約・燃料代・整備費 |
※ 表は横にスクロールできます。
価格帯・室内寸法の数値は掲載していません。相場は年式・仕様・時期で動き、室内寸法は架装によって1台ごとに違うためです。12項目で比べた表とベース車(メーカー)の違いはクラス比較にまとめています。免許の考え方は免許・車検・8ナンバーで扱っています。
中古で見るときは「車」と「架装」を分ける
どのクラスでも、中古のキッチンカーは車両価格が安い分、架装(シェル・厨房)にどれだけ手が入っているかで総額が変わります。車の状態と架装の状態を分けて確認してください。厨房の広さと積載の余裕は、カタログではなく実車で測るのが確実です。人がすれ違えるか、ストックをどこに置くかは、図面ではなく現物で見てください。
車両サイズを決める前に、一日の営業を書き出す
商品名だけでは必要な車は決まりません。同じ丼物でも、車内で加熱調理するのか、仕込み済みの食材を盛り付けるのかで、機器・水・収納の使い方が変わります。出発前の積み込み、移動、設営、販売、片付けまでを順番に書き、どの作業を車内で行うか整理してください。
仕込み場所でできる作業が多ければ、車内は仕上げと提供に集中できます。一方で、営業中に追加調理する必要があれば、作業台や食材の保管場所も必要になります。「今のメニュー」と「増やしたいメニュー」を分けると、将来のためにどこまで余裕を取るか判断しやすくなります。
都内の定期出店を中心にする場合
軽や1tの小回りを生かせるか、出店区画だけでなく搬入経路、曲がり角、高さ制限、駐車場所を確認します。現場で販売窓を開けたときに、人が並ぶ場所が取れるかも重要です。車が入ることと、無理なく営業できることは分けて見ましょう。
大型イベントを中心にする場合
1.5t以上を検討する際は、仕込んだ食材、容器、飲料、水、電源を積んだ状態で考えます。大きな車を買っても、冷蔵庫の容量や受け渡しの動線が足りなければ、想定した食数を提供できません。機器の大きさだけでなく、補充と片付けの場所まで図にしてみてください。
厨房の広さは、扉を開けた状態で比べる
内寸が広くても、冷蔵庫を開けると通路が塞がる場合があります。引き出し、収納扉、機器の蓋を開け、二人で作業するなら一人が調理中にもう一人が移動できるかを確かめます。写真では分からないため、実車でいつもの作業を再現することが有効です。
受け渡し口から調理台までの距離も見ます。注文を受ける人が会計のたびに調理する人の後ろを通る配置では、混雑時に動きが重なります。注文、調理、盛り付け、受け渡し、洗浄の順番を紙に書き、交差する場所を確認しましょう。これだけでも必要な車幅や作業台の配置が具体的になります。
棚を増やせば収納量は増えますが、重量や清掃のしやすさも変わります。重いものをどこへ置き、走行時にどう固定するかまで相談します。空の車内で広く見えるかだけでなく、実際の荷物が収まるかで比べることが大切です。
車検証と積み込みリストを並べる
「1.5t」といった呼び方だけで、架装後の積載余裕は判断できません。実際の車検証と車両の仕様を確認し、固定設備・持ち込む機器・食材・容器・水などを整理します。固定設備がどの重量に含まれているかも販売者へ確認し、二重に数えたり、抜けたりしないようにします。
水は容量だけでなく、出発時・営業中・帰路の状態を考えます。給水が減って排水が増える運用でも、飲料や補給用の水などを別に積めば重量は変わります。必要に応じて実際に積んだ状態を計量し、総重量や軸重を含めて整備事業者へ確認してください。
- 機器は型番と重量を控える
- 食材は最も多く積む日の量を考える
- テント・看板・予備容器も含める
- 運転者全員が運転できる仕様か確認する
二台の候補は「使える日」を想像して比較する
平日の定期販売と週末のイベントでは、車両に求めるものが違います。狭い出店先を多く確保しているなら、小回りが営業の機会につながります。大量の仕込みを積むイベントが中心なら、積載と作業スペースが候補を絞る条件になります。どちらも、予定がまだない段階で最大の規模だけを想像して選ばないことが大切です。
比較表には、車両価格の隣に「入れる出店先」「載せる設備」「営業人数」「駐車場所」「整備先」を書きます。条件を満たしていない欄がある場合、その問題が費用で解決できるのか、出店先自体を変える必要があるのかを分けて考えましょう。
迷ったときは、候補車の写真だけでなく、メニューと機器の一覧を持って相談してください。大きさの好みを伝えるより、営業の形を伝えるほうが具体的な比較になります。クラスごとの一覧は車両サイズ比較で確認できます。
現車で確認すること
- 出店したい区画の幅・奥行き・高さ制限を先に調べる(車を決める前に)
- 1日に売りたい食数から、必要な食材・包材の体積と重量を計算する
- 厨房設備・タンク・什器を積んだ状態で、食材と人を乗せて最大積載量に収まるか確認する
- 1人で回すのか2人で回すのかを決めてから、厨房内で人がすれ違えるかを実車で確認する
- 車検証の車両総重量を見て、運転する全員の免許で運転できるかを確認する
- 給排水タンクの容量が、出店予定地の営業許可基準を満たすか確認する
注意点
- 「軽なら安い」で選ぶと、積載不足による売り逃しで結果的に高くつくことがある
- 売上事例は商品・立地・体制の結果。車を買えば同じ数字になるわけではない
- 大きいほど入れない出店先が増える。車を買う前に出店計画を固める
寸法・価格・重量・消費電力・修理費のうち、確認できていないものは掲載していません。推定値は載せません。
免許・車検・構造変更・営業許可などの制度は改正されます。最終確認は必ず最新の法令および管轄窓口でお願いします。
最終更新:2026-09-21
この内容について相談する
車両の状態や使い方に合わせて、確認したいポイントをご案内します。
購入前の車両選びから日々のメンテナンスまで、お気軽にご相談ください。
営業予定地と個別車両によって確認事項が変わります。下記の公的案内と管轄窓口で確認してください。
公的案内の確認日:2026年10月17日