車両研究所から引き継いだ、詳しい解説
キッチンカーの給排水タンクとシンク。容量・材質・ポンプ

漫画でつかんだポイントを、実車の確認に役立つ情報で深めよう。
この記事の結論
容量はメニューと調理工程に合わせて選びます。基本は80L以上を目安に、幅広い調理をしたい方は給水200L・排水200Lの構成を検討してください。ただし、その自由度は重量で支払います。
この記事で分かること
- 40L・80L・200L、それぞれの検討する使い方。排水も同じだけ考える理由
- シンクにステンレスを勧める理由と、木下地に水が入ると何が起きるか
- 給水ポンプが止まる原因。吐水レバーを閉じたままモーターを回し続けない
- 購入前に販売者へ聞きたい質問と、営業開始までの具体的な準備
容量はメニューと調理工程から決める
CRAFTBASEでは、これから車両を用意する方には給水80L以上を基本の検討目安としておすすめしています。
これは車両選びの提案であり、全国共通の許可基準を意味するものではありません。飲食店舗などの仕込み拠点がある事業者であれば、80Lは合理的な選択です。
| 給水容量 | 検討する使い方 |
|---|---|
| 40L | 提供品目や工程を絞る必要があるため、将来のメニュー展開まで考えると慎重に検討したい容量 |
| 80L | 営業に適した仕込み施設で下準備を済ませ、車内では簡単な調理や仕上げを行う方の検討目安 |
| 200L | 車内で行いたい調理や扱いたいメニューが多い方に勧める容量。給水200L・排水200L、タンク容量の合計400Lの構成を検討する |
※ 表は横にスクロールできます。
容量だけでできる営業内容が決まるわけではありません。提供品目・調理工程・設備をまとめて、出店予定地の管轄保健所へ事前に確認してください。
排水も同じだけ考える
給水だけ大きくしても、排水が受けられなければ営業は止まります。一般に、排水タンクは給水量以上が求められます。排水を現場でどう処理するか(携行して持ち帰るか)も運用に関わります。
200Lの現実:水は重い
給水200L+排水200Lの「計400L」はタンク容量の合計です。常に400Lの水を積むという意味ではありません。運行時に想定される給水・排水の実際の量で、積載重量を確認します。それでも、200Lの水はおよそ200kgになります。無視できない重量です。
- 車両総重量が増える → 免許区分に影響する可能性がある
- 最大積載量を圧迫する → 積める食材が減る
- タンクの固定が甘いと、走行中に動く → 危険
- 配置によって重量バランスが変わる → 走行安定性に影響する
- 給水・排水タンク本体と、運行時に実際に積む水量を含めて重量を確認する
だから「大きければ安心」ではありません。200Lを積むなら、車両総重量・積載・タンク固定・配置・普通免許対応までをセットで設計する必要があります。軽では、積載の大半を水が占めることもあります。免許の考え方は免許・車検・8ナンバーに書いています。
- 売る商品と工程を書き出す(洗う回数、使う水の量)
- 1日の営業時間と想定食数を決める
- 営業に適した仕込み施設(店舗・シェアキッチンなど)を利用できるか確認する
- 出店予定地の営業許可基準(必要な容量)を管轄で確認する
- 必要容量が決まったら、その重量を積んだ状態で車両総重量を計算する
シンクにはステンレスを
シンクは「営業許可の要件を満たすための設備」と思われがちですが、実際には毎日いちばん水を浴びる場所です。キッチンカーのシンクには、ステンレスをおすすめします。日々の水仕事に使いやすく、汚れを拭き取りやすい素材です。槽だけでなく天板や周辺の構造も含めて、清掃しやすく仕上げることが大切です。

オールステンレス/SUS304/板厚1.2mm/3槽/深さ約19cm。
以前は、木+メラミン化粧板+ステンレスという構成を使用していました。
しかし、水分の侵入による膨れ・剥離・劣化を考慮し、オールステンレスへ変更しています。
水は継ぎ目から入り、入った水は乾かない
シンクと天板の継ぎ目、シンク下の配管まわり。ここはどうしても継ぎ目になります。シーリングで塞いでも、毎日の水と洗剤と振動で、いつかは切れます。木の下地に水が入ると内部で乾かず、膨れ、剥離、そして腐りへ進みます。表面のメラミン化粧板がきれいでも、下地の傷みが進んでいることがあります。交換になると、天板、下地、配管、場合によっては床まで手が入ります。
| 構成 | 強み | 弱み |
|---|---|---|
| オールステンレス(SUS304等) | 水に強い/清掃しやすい/下地に水が入る構造がない | コストが上がる/加工に手間がかかる |
| 木下地+化粧板+ステンレス | コストを抑えやすい/加工しやすい | 継ぎ目から水が入ると膨れ・剥離・腐りに進む |
| 樹脂系 | 軽量/加工しやすい | 熱と傷への強さは製品による |
※ 表は横にスクロールできます。
槽数は営業許可に、深さは実務に効く
シンクの槽数(1槽/2槽/3槽)と、手洗い設備が独立しているかどうかは、営業許可の基準に直結します。基準は自治体ごとに異なるため、出店予定地の管轄で確認してください。浅いシンクは水がはねます。鍋やバットを洗うとき、深さが足りないと作業効率が落ちます。約19cmという深さは、実務から出てきた数字です。
給水ポンプが止まる理由
吐水レバーを「止める」にしたまま、モーターだけを回し続けないでください。水の出口を閉じた状態での連続運転は、機種や運転条件によってポンプの過熱・焼損につながります。
手動で電源を操作するタイプは、水を止めた後もモーターが動き続けていないか確認し、取扱説明書に沿ってポンプを停止してください。圧力スイッチなどで自動停止するタイプで、レバーを閉じても停止しない場合は、電源を切り、配管の漏れや圧力スイッチなどを点検してもらってください。故障原因は機種によって異なります。
タンクの水切れ、吸水側への空気の混入、ホース抜けも、水が出ないときの確認項目です。締め切ったままの運転と、水がない状態での空運転は区別して確認します。
| 症状 | 考えられること | 確認する場所 |
|---|---|---|
| レバーを閉じてもモーターが回り続ける | 手動停止が必要な機種/自動停止機能の不具合/配管の漏れなど | 電源を切り、機種の仕様と圧力スイッチ・配管を確認 |
| ポンプは回るが水が出ない | 空気噛み/吸水側の詰まり/ホース抜け | タンク〜ポンプ間のホース、継手、吸水口 |
| ポンプが回らない | 電源/スイッチ/ヒューズ/ポンプ本体 | ブレーカー、配線、ヒューズ |
| 断続的に動く(回り続ける) | 圧力が保てていない/どこかで漏れている | 継手、配管、蛇口 |
| 異音がする | 空運転/異物/本体の劣化 | 水位、吸水側 |
| 水漏れしている | 継手の緩み/ホースの劣化 | 配管の接続部すべて |
※ 表は横にスクロールできます。
現場での対応
- まず止める。水が出ないまま回し続けると、状況は悪化する
- 吐水レバーと停止方式を確認する。手動停止式か自動停止式かを把握し、取扱説明書どおりに操作する
- 水位を確認する。営業中は減っていることに気づきにくい
- 吸水側から順に見る。タンク → 吸水ホース → 継手 → ポンプの順で、空気の入り口を探す
参考:Jabsco 31820シリーズ取扱説明書(自動停止しない場合の確認項目)。実際の操作は搭載ポンプの取扱説明書に従ってください。
中古車で見るところ
中古車では、必ず水を入れた状態でポンプを動かしてもらってください。容量が仕様どおりでも、ポンプや配管に問題があれば使えません。「動くはずです」という説明だけで判断しないでください。
- 実際に蛇口から水が出るか。圧が保たれるか(すぐ止まらないか)
- レバーを閉じた後、仕様どおりにポンプが停止するか
- 継手から漏れがないか。異音がないか
- タンクにひび・補修跡がないか。固定は十分か
- シンク下を開けて、配管まわりに水が回った跡、下地の膨れ、カビがないか
- 天板とシンクの継ぎ目(コーキング)の状態
メニュー名より、車内で行う工程を整理する
同じメニューでも、仕込み場所でどこまで準備するかによって車内で必要な作業が変わります。洗う、切る、加熱する、盛り付ける、器具を洗浄するという工程を順に書き、車内で行うものに印を付けてください。新しいメニューを追加する予定がある場合は、それも別欄に残します。
80Lや200Lという容量を先に選ぶより、この工程表を持って営業予定地の保健所へ相談すると話が具体的になります。当サイトの80L以上という提案は設備選びの目安であり、許可条件を全国一律に決めるものではありません。必要な設備と容量を確認してから、候補車に収まるかを検討しましょう。
自治体の案内を調べる際は、営業する地域、業種、扱う食品、調理工程の条件が自分の計画と一致するかを確認します。厚生労働省の営業規制に関する検討資料でも、給排水容量と自治体での運用が扱われています。最終的な設備の相談は管轄窓口へ行ってください。
給水200L・排水200Lの置き方を考える
二つのタンクを置けるかだけでなく、満水・使用中・排水前の状態を想定します。どの水をいつ積み、どこで補給し、どこで排水するかを決めておくと、営業に必要な量と移動時の重量が整理できます。タンク容量の合計と、実際に積んでいる水の重量は区別してください。
置き場所が低くて奥にあるタンクは、給水や洗浄の作業がしにくい場合があります。蓋を開けられるか、ホースを外せるか、排水しやすいか、状態を目視できるかを現車で確認します。取り出して洗う方式なら、周囲の機器を動かさず取り出せるかも見ておきます。
車内のスペースをぎりぎりまで使うと、接続部の点検や交換が難しくなります。給水・排水のホースがどこを通り、接続部へ手が届くかも大切です。容量の大きさに加え、毎日の補給と清掃を続けられる構造で比較してください。
シンクは、使う器具を持って大きさを確かめる
ステンレスのシンクを選ぶときも、素材名だけでは使い勝手は分かりません。鍋、ボウル、バットなど、実際に洗うものが収まるかを確認します。器具が大きい場合は、シンクの内寸に加え、蛇口の位置と周囲の作業スペースが関係します。
シンクの縁、壁との取り合い、排水口の周囲は汚れや水が残りやすい場所です。清掃しやすい形か、作業台の下へ水が回り込む構造になっていないかを見ます。中古車では、表面の傷だけでなく、接合部や下地の状態も確認しましょう。
設備基準に関わる槽数や手洗い設備は、管轄窓口へ確認します。日常の使いやすさと、営業許可に必要な設備を両方満たすことが大切です。限られた空間で洗浄と盛り付けの動きが重ならないよう、シンクと作業台の位置も一緒に考えます。
ポンプは、水を出す・止めるまで説明を受ける
ポンプの型番と方式を確認し、販売者に通常の操作を実演してもらいます。吐水レバーを開けたときに水が出るかだけでなく、閉じたときのモーターの動きも確認します。自動停止する機種か、別のスイッチ操作が必要な機種かを把握しておくと、使い方の間違いを防ぎやすくなります。
水を止めたままモーターを回し続ける使い方は、機種によって過熱・焼損につながります。また、水がない状態の運転についても取扱説明書の条件を確認します。音がするのに水が出ないときは、長時間回し続けず、電源を止めて水量や接続を確認し、分からなければ整備先へ相談してください。
引き渡し時に、給水から排水までを一通り確認します。接続部の漏れ、床下への流出、タンクの固定を見て、営業後の洗浄方法も教わります。毎日の使い方を車内に短く掲示すると、スタッフが増えても同じ手順を共有できます。
現車で確認すること
- 出店予定地の営業許可基準(必要な給排水容量・槽数・手洗い)を管轄で確認する
- 給水タンク・排水タンクの実容量を確認する(給水量以上の排水容量があるか)
- 水を入れた状態での車両総重量と、免許区分を確認する
- タンクの固定方法を確認する(走行中に動かないか)
- 各槽の内寸と深さを実際に測る
- シンク下を開けて、配管まわりの水の回った跡を確認する
- 実際にポンプを動かして、水が出るか・漏れがないか・仕様どおり停止するかを確認する
注意点
- 200Lの水は約200kg。積載と免許区分に直接効いてくる
- 表面がきれいでも、下地に水が入っていることがある
- 容量や槽数の基準は自治体で異なる。「全国共通」ではない
寸法・価格・重量・消費電力・修理費のうち、確認できていないものは掲載していません。推定値は載せません。
免許・車検・構造変更・営業許可などの制度は改正されます。最終確認は必ず最新の法令および管轄窓口でお願いします。
最終更新:2026-09-21
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公的案内の確認日:2026年10月17日