車両研究所から引き継いだ、詳しい解説
キッチンカーのシェル・販売口・内装の素材。直しながら使う

漫画でつかんだポイントを、実車の確認に役立つ情報で深めよう。
この記事の結論
シェルに寿命年数はありません。車が動く限り、補修しながら使います。販売口は人がいる側に開く装置なので安全側に、内装は売る商品から逆算して決めます。
この記事で分かること
- 数年で手が入る場所と、板金・調整で戻せる範囲。「壊れたら終わり」ではない
- CRAFTBASEが跳ね上げ式からシャッター式へ設計思想を変えた理由
- シェル素材と床・壁・天井の選び方。火器まわりでは「壁と熱」を最優先にする
- 購入前に販売者へ聞きたい質問と、営業開始までの具体的な準備
シェルは何年使えるか
「シェルは何年もちますか」という質問をよく受けます。CRAFTBASEの考えは明確です。車が動く限り、補修しながら使う。シェルには家電のような耐用年数はありません。劣化する部分を、劣化した時点で直していけば使い続けられます。逆に、何も直さなければ数年で使いにくくなります。
背面跳ね上げ式の構造では、ダンパー・バネ・ヒンジ・扉などに数年で歪みが出るケースがあります。
ただしこれは、板金・調整によって修理が可能な範囲です。「壊れたら終わり」ではありません。
| 部位 | 起きること | 対応 |
|---|---|---|
| ダンパー | 保持力の低下 | 交換 |
| バネ・ヒンジ | 歪み、動きの渋さ | 調整・交換 |
| 扉 | 建て付けのずれ、閉まりにくさ | 板金・調整 |
| シーリング | 割れ、痩せ | 打ち替え |
| 塗装 | 退色、チョーキング | 再塗装 |
| 床 | 歩行部の沈み | 下地補修 |
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なぜ「補修前提」で考えるのか
キッチンカーは走る店舗です。走行中は常に振動と荷重を受けています。据え置きの厨房設備とは条件が違います。シーリングの割れを放置すれば雨漏りになり、雨漏りを放置すれば下地が腐ります。早い段階で直せば軽く済むものが、放置すると大きくなるのがシェルの特徴です。直しながら使ってきた車は、売却時にも評価されます。記録を残しておくことをおすすめします。雨漏りの見方は錆と雨漏り、どこまでなら買えるかに書いています。
販売口はシャッターを推奨する。理由は安全性
販売口の形式について、CRAFTBASEの結論はシャッターを推奨です。理由は、見た目でも価格でもなく、安全性です。
CRAFTBASEも、以前は跳ね上げ式を製作していました。
その後、安全性を重視してシャッター式へ設計思想を変更しています。
実際に、跳ね上げ式まわりの修理で入庫する車両があります。
| 跳ね上げ式のリスク | どういう状況で起きるか |
|---|---|
| 強風 | 屋外イベントで突風を受ける。扉が煽られる |
| ダンパー劣化 | ガスダンパーは経年で保持力が落ちる。開けた扉が下がってくる |
| 扉の落下 | ヒンジ・ダンパー・取付部の劣化が重なる |
| 走行中の開放 | ロックの掛け忘れ・ロック機構の劣化 |
| 障害物への接触 | 開けたまま移動・低い屋根・樹木への接触 |
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重要なのは、これらがお客さんとスタッフのいる側で起きるということです。販売口は、人が集まる場所に向かって開きます。
| シャッター式 | 内容 |
|---|---|
| 利点 | 開いた状態で頭上に重量物が来ない/強風の影響を受けにくい/防犯性/開口の高さを取りやすい |
| 注意点 | レールの汚れ・変形で動きが渋くなる/油汚れの清掃が必要/故障時は開閉に手間がかかる |
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シャッターも装置である以上、点検は必要です。「シャッターにすれば安全」ではなく、「シャッターのほうがリスクの種類が扱いやすい」という理解が正確です。中古で跳ね上げ式の車を検討する場合は、ダンパー・ヒンジ・ロックの状態を必ず確認し、開閉を何度か試させてもらって、途中で下がってこないかを見てください。
シェル素材に、絶対の正解はない
シェルの素材には、木、鉄、アルミ、FRP、アルミ複合板などがあります。どれが優れているという答えはなく、それぞれ得意なことが違うだけです。

| 素材 | 強み | 弱み・注意点 |
|---|---|---|
| 木 | 加工しやすい/修理しやすい/断熱に有利 | 水分による腐食。防水と排水の設計が前提になる |
| 鉄 | 強度がある | 錆対策が必須。重量も増える |
| アルミ | 軽量/耐食性が高い | 溶接・加工に技術が要る。異種金属との接触に注意 |
| FRP | 継ぎ目を減らせる/屋根に適する | 補修に専用の知識が要る |
| アルミ複合板 | 平滑で軽い/内外装に使いやすい | 曲げ・衝撃に対する扱い方が決まっている |
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重量は積載を食い、修理性は長く使うほど効く
丈夫にしようとすると重くなります。重くなれば積める食材が減り、車両総重量が上がって免許区分にも影響します。強度と積載はトレードオフです。軽くて丈夫でも、直せる工場が少ない素材は、年数が経つほど不利になります。
部位ごとに最適な素材が違う
屋根は雨に一番さらされる場所です。だからCRAFTBASEは軽・1tでFRP屋根を採用しています。車全体を1素材で語れません。
- その車で何を売るか(火器の量、水の量、重量物の有無)を決める
- 必要な積載量から、架装に使える重量の上限を出す
- 雨・熱・油など、どの負荷が強くかかる部位かを整理する
- 部位ごとに素材を割り当てる(屋根・壁・床・内装は別に考える)
- 修理を頼める体制があるかを確認する
床・壁・天井は、水に強く、硬くて掃除しやすい素材を基本に
床・壁・天井は、水に強く、硬くて日々の掃除がしやすい素材を基本に選びます。表面の撥水性だけでなく、継ぎ目や端部から水が入らない仕上げも大切です。
お客様から見える場所は、おしゃれな壁紙などで店の雰囲気をつくることもできます。調理中心の場所は、アルミ板やステンレスなどの金属パネルも候補に、汚れの落としやすさを重視します。火器周辺は表面材だけで判断せず、下地を含む耐熱・防火性能と機器指定の離隔距離を確認し、用途に合う内装にします。

| 場所 | 求められること | 候補となる材料 |
|---|---|---|
| 火器の周辺 | 耐熱・耐火・清掃性 | ステンレス、不燃材、ケイカル板など |
| シンクまわり | 防水・清掃性 | ステンレス、樹脂系の板材など |
| 一般の壁 | 清掃性・軽さ | アルミ複合板、壁紙(施工方法による)など |
| 床 | 防水・滑りにくさ・清掃性 | 防水性のある床材(施工方法による) |
| 天井 | 清掃性・断熱 | 用途に応じて選定 |
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| 商品の例 | 内装で重視すること |
|---|---|
| クレープ・デザート | 清掃性。火器は限定的。粉と糖分の汚れ対策 |
| 焼きそば・鉄板 | 油煙と熱。壁面の耐熱と清掃性、換気 |
| 唐揚げ・フライヤー | 高温の油。耐熱・耐火、離隔、換気、床の防滑 |
| ドリンク | 水まわりの防水。結露対策 |
| サンドイッチ・冷製 | 衛生と温度管理。冷蔵設備と空調 |
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火器まわりは「壁と熱」を最優先に
フライヤー、グリドル、タンドール。火力の大きい機器をキッチンカーに載せるとき、最重要になるのは壁と熱の関係です。「火が直接当たらなければ安全」という考え方は成立しません。長時間の熱で、壁材・接着剤・内部の下地が膨張し、変形する可能性があります。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 耐熱・耐火 | 壁面・天井の材料が熱に耐えるか。不燃材・ケイカル板・ステンレス等の使い分け |
| 離隔距離 | 機器の取扱説明書に指定がある。壁からどれだけ離すか |
| 連続使用時間 | 機器の仕様。連続で使い続けたときの発熱を想定する |
| 換気 | 油煙と熱を排出できるか。換気扇の能力と位置 |
| レンジフード | 捕集できる形状・大きさか。フィルターの清掃性 |
| 機器固定 | 走行中に動かないか。固定方法と取付部の強度 |
| 床 | 油が落ちる。防滑・清掃性・防水 |
| ガス設備 | ボンベの設置位置・固定・庫の換気(該当する場合) |
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なぜ「長時間の熱」が問題になるのか
短時間なら問題のない温度でも、営業中ずっと熱源が稼働していれば、周囲の材料は熱を蓄えます。朝から夕方まで揚げ続ける営業を想定してください。壁材そのものが不燃でも、下地との接着に使われている接着剤が熱で劣化することがあり、表面からは見えません。熱で膨張・収縮を繰り返した部材が、走行振動を受け続けます。
中古車で見るところ
- 販売口を実際に何度か開閉させてもらう。跳ね上げ式はダンパーの保持力・ヒンジの歪み・ロック機構、シャッター式はレールの変形・汚れ・開閉の滑らかさ
- 扉・シャッターの建て付け、シーリングの割れ・痩せ、床を歩いて沈む場所がないか
- これまで何を直してきたかを聞く。「何も直していない」は、状態が良いという意味ではないことがある
- 前オーナーが何を売っていたかを聞く。業態が変わるなら、火器まわりの仕様が合わない可能性がある
- 火器の強い車では、壁の変色・変形・膨れ。前オーナーがどれだけ熱をかけてきたかが、そこに出る
- 換気扇・レンジフードの能力と、油汚れによる固着の有無
内装材は、場所ごとに必要な性能を分ける
床、調理機器の周囲、販売窓のまわりでは、かかる水や熱、汚れの種類が異なります。全体を同じ見た目にそろえる前に、濡れる場所、熱を受ける場所、お客さんから見える場所を図に分けてみましょう。硬く水に強いことに加え、継ぎ目まで清掃できることが日常の使いやすさにつながります。
おしゃれな壁紙を使う場合は、水や油のかかり方と清掃方法に合う製品かを確認します。調理を優先する場所では金属パネルなども候補になりますが、金属を張っただけで、火器まわりの条件を満たすと考えないでください。機器の説明書や必要な仕様に沿って、下地・距離・施工方法を検討します。
床は、濡れたときの滑りやすさ、台車や機器の荷重、端部の処理を確認します。表面が丈夫でも、周囲から水が入り込む構造では下地の確認が必要になります。中古車は仕上げのきれいさと、下地の状態を分けて見ましょう。
販売窓は、開けた状態の営業スペースを見る
販売窓を開閉して、引っ掛かり、傾き、固定の状態を確認します。シャッターならガイドレールや巻き取り部分、跳ね上げ式なら支持部分や開いたときの張り出しも見ます。開閉ができたというだけでなく、毎日の設営と撤収を誰が行うかまで考えてください。
出店区画の境界、歩道、行列、隣の車との距離も関係します。閉じた状態の車幅で入れても、窓や扉を開けると周囲の通行を妨げる場合があります。予定する出店先の条件と、開いた状態の寸法を合わせて確認することが大切です。
雨の日の受け渡しも想像します。窓枠の排水、カウンターへの吹き込み、商品や容器の置き場を確認し、必要な備品も含めて相談します。窓の形式だけで良し悪しを決めず、構造と運用が営業場所に合うかで判断しましょう。
換気と冷房は、調理の内容から考える
フライヤーやグリドルを多く使う厨房では、熱や油煙がどこへ流れるかを考える必要があります。換気扇が付いているかだけでなく、調理機器の配置、フード、給気と排気の通り道を設備業者へ確認します。機器を追加すると、もとの換気計画に合わなくなる場合があります。
エアコンはあってもよい設備ですが、販売窓を開け、火器を多用する環境では冷房だけに頼らない計画が必要です。運営者としては、アイスマンベストや空調服など人を冷やす装備も検討をすすめます。作業環境や製品の使用条件に合わせて選び、換気や休憩の確保とあわせて考えてください。
電源に限りがある車両では、冷房を加えたときの同時使用も確認します。車内の快適さと、冷蔵設備や調理機器を動かす電力を一緒に計画することで、営業中に機器を止めるような運用を避けやすくなります。
修理や交換のための「開けられる場所」を残す
完成した厨房は、隙間が少ないほど整って見えます。しかし、配管や電装へ触れない構造では、部品交換のために周囲を外す作業が必要になる場合があります。ポンプ、接続部、配線、販売窓の機構に点検できる場所があるかを確認してください。
冷蔵庫などの大きな機器は、将来どう搬出するかも聞きます。出入口を通るか、作業台を外す必要があるか、固定方法が分かるかによって、交換時の作業が変わります。購入後すぐ交換する予定がなくても、使い続けるための確認として役立ちます。
中古車を自分の店らしく改装する場合は、装飾と設備工事を分けて見積もります。先に下地や配管を確認し、必要な補修を終えてから仕上げを決めると、後で新しい内装を外す手戻りを抑えやすくなります。見た目と整備のしやすさを、同じ段階で検討しましょう。
現車で確認すること
- 販売口を実際に何度か開閉させてもらい、ダンパー・ヒンジ・ロック・レールの状態を確認する
- シーリングの割れ・痩せ、扉の建て付け、床の沈みを確認する
- シェルの素材を販売店に確認し、素材ごとの劣化サイン(木=柔らかさ、鉄=錆、アルミ=腐食、FRP=ひび)を見る
- 使用する機器の取扱説明書で、離隔距離と設置条件を確認する
- 火器周辺の壁材・天井材が耐熱・耐火・清掃性を満たしているか、変色・変形・膨れがないかを確認する
- これまでの補修履歴と、前オーナーの業態を聞く
- 強風時・走行時の運用ルール(必ず閉める・ロックする)を決めておく
注意点
- 販売口は人が集まる側に開く。安全側で判断する。どの形式でも点検は必要
- 「火が当たらないから大丈夫」という判断はしない。離隔距離を感覚で決めない
- ガス設備は自己判断しない。有資格者・専門業者に確認する
寸法・価格・重量・消費電力・修理費のうち、確認できていないものは掲載していません。推定値は載せません。
免許・車検・構造変更・営業許可などの制度は改正されます。最終確認は必ず最新の法令および管轄窓口でお願いします。
最終更新:2026-09-21
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